記事: ザック・ズブレナの写真アート:2枚組・3枚組に込めた物語
ザック・ズブレナの写真アート:2枚組・3枚組に込めた物語
日本の住まい、ホテル、リゾート、スパに。黄金の写真作品に込めた、出会いと創作の物語。
東京の住まい、京都の町家を生かした宿、大阪のホテル、沖縄のリゾート。空間に写真アートを迎えるとき、私が大切にしたいのは、その場所でどのような時間を過ごしてほしいかということです。親密さ、力強さ、静けさ、あるいは自然とのつながり。作品の背景を知ることで、その選択はより個人的なものになります。
私はザック・ズブレナです。私の写真には、黄金の輝き、光、動き、そして人の身体が映っています。しかし、完成した画像だけでは見えない物語もあります。初めて金色に塗って撮影した女性、自宅の庭に咲く花、夕暮れの砂漠で踊るダンサー。そして、5年の時を隔てて撮影し、後になって一つの作品になった写真。
ここでは、2枚組の写真作品「ディプティック」と、3枚組の写真作品「トリプティック」が生まれた背景をお話しします。最初から組作品として考えたものもあれば、何年も経ってから写真同士のつながりを見つけたものもあります。
日本で写真表現の幅広さに触れたい方には、東京都写真美術館の収蔵品検索も一つの入口になります。この文章では、私自身の写真に込めた記憶をたどっていきたいと思います。
すでにある一枚に寄り添う写真を撮るまでに、何年もかかることがあります。その最初の写真を心に留めながら、応えることのできる人物、しぐさ、存在との出会いを待つのです。
私が求めるのは、作品のエネルギーがさらに深まる組み合わせです。視覚的な印象だけで決めるのではなく、写真が互いに響き合い、一緒に見ることで感じられるものが豊かになることを大切にしています。
私たちの内にいる野生:写真家としての原点
2012年に撮影した野生動物と、2016年に初めて金色で撮影した女性が出会う作品。
この作品には、写真家としての私にとって二つの始まりが重なっています。2012年、クルーガー国立公園で大型のネコ科動物を撮影しました。その旅は、写真への思いを深める大きなきっかけになりました。数年後、その写真を取り出し、2016年に初めて金色で撮影した女性の写真と組み合わせました。
心を動かされたのは、彼女の女性らしさと、動物たちの本能的な存在感とのつながりです。彼女のポーズには、温かさ、官能性、優雅さとともに、飼いならされていない美しさがありました。写真を重ね合わせることで、私たち一人ひとりの内に生きる野生を表現したかったのです。
私にとって、彼女の姿には柔らかさと強さが共存しています。動物のイメージは、その感覚に別の表情を与えます。本能、自信、そして自然に伝わってくる存在感です。
夢の庭:一度の露光で捉えた二つの空間
鏡と反射を使い、女性と庭をそれぞれ一度の撮影で捉えた3枚組。
この写真は、イタリア人歌手との撮影の終わりに生まれました。彼女は服をまとわず、私の居間の椅子に座っていました。私は庭に立ち、二人の間にあるガラス扉を開けて撮影していました。
アシスタントの協力を得て、鏡と反射の仕組みを丁寧に整えました。すると、室内にいる彼女と、私の背後にあるバラの茂みを同じ瞬間に捉えることができたのです。一枚一枚が、一度の露光で撮影した単独の写真です。別々の写真を後から重ねたものではありません。
私にとって、これは興味深い技術的な挑戦でした。二つの空間を一つの画面に収め、その境界をほとんど感じさせなくすること。反射によって、実際には居間に座っている彼女が、バラの中にいるように見えます。
ぼけは意図的に取り入れました。輪郭がほどけ、庭と身体が溶け合い、夢のようにロマンティックな雰囲気が生まれます。身体は光と柔らかな形を通してほのかに感じられ、親密で繊細な表現になりました。
制作に必要だった精密さと、完成した写真の夢見るような感覚。その関係が好きです。撮影の裏では細かな調整が必要でしたが、作品には、一人の女性と庭、その間に浮かぶ一瞬の印象が残っています。
座る二人:心に深く残る2枚組
彼女の優雅さと女性らしさへの思いから生まれた組作品。
この2枚組は、私にとってとても大切な作品です。女性の写真が好きでした。女性らしさ、優雅さ、そしてポーズの中で自然に存在する様子。もっと向き合っていたい写真で、やがて、その隣に男性の姿を思い描くようになりました。
男性モデルには、似た姿勢を取ってもらいました。二人のしぐさが同じ視覚的な言葉を持ちながら、それぞれの個性も残るようにしたかったのです。
二枚を一緒に見ると、今も喜びを感じます。人物の間にある空間が、静かな関係を支えています。寝室や落ち着いた客室では、その関係が空間の雰囲気に加わるかもしれません。
女性性と男性性:向き合うことを選ぶ
受賞した女性の写真を出発点に、その隣に置く男性の写真を制作。
この組作品の女性の写真は受賞作です。豊かな曲線と流れるようなシルエットが、ずっと心に残っていました。その隣に、同じくらい強い存在感を持つ男性の写真を作りたいと思いました。
二人の姿は、私が考える神聖な女性性と男性性を表しています。異なる二つのエネルギーが関係を結ぶイメージです。
向きも重要でした。背中合わせにして、それぞれ外側を向かせることもできます。私は二人が向き合う配置を選びました。その選択によって、二人の間に、互いを認める感覚や引き寄せられる気配が生まれると感じています。
金色の唇と庭の花:スパに選ばれた作品
予定外のクローズアップが、自宅の庭の花と出会いました。
お気に入りの写真が、予定していた撮影の合間に生まれることがあります。このモデルのパートナーがメイクを受けている間、私は彼女を近くから撮り始めました。唇の形、金色の輝き、小さな部分に宿る控えめな官能性に惹かれていました。
後になって、その写真を自宅の庭で撮影した花と組み合わせました。柔らかな花びらと、金色の塗料がつくる明るい表面。その質感と形の出会いが好きでした。
この作品には、春のような生命力を感じます。親密で、みずみずしく、温かい。身近な場所にも、目を向ければ美しさがあることを思い出させてくれます。
この唇と花の2枚組は、デイヴィッド・ロイドのスパに選ばれました。個人的な記憶から生まれた写真が、くつろぎのための空間に迎えられたことをうれしく思います。詳しくは、120以上のデイヴィッド・ロイド・クラブに私の作品が飾られた背景をご覧ください。
夕暮れの砂漠で踊るファイアーダンサー
砂漠の光、黄金の反射、そして炎と踊る身体。
彼女はプロのファイアーダンサーで、その技術を教えてもいます。金色に塗った彼女を撮影したいと思い、砂漠へ行き、日が沈む時間に撮影しました。
火を灯し、移り変わる光の中で彼女が動く。その体験は特別でした。踊り、炎、塗料の反射、消えていく昼の光。すべてが同時に起こり、私はその瞬間に集中していました。
三枚には、あの夕暮れの記憶が残っています。一緒に飾ると、動きが壁を横切り、視線が一つの瞬間から次へと進みます。見るたびに、あの場所にいたときの感覚が戻ってきます。
二人の女性、5年の隔たり、一つの3枚組
5年を隔てた写真が、一つの調和をつくるお気に入りの作品。
これは特に好きな3枚組で、深いつながりを感じています。三枚には共通するリズムがありますが、写っているのは、5年の間隔を置いて撮影した二人の女性です。
並べたとき、自然に一つの作品としてつながることに驚きました。ポーズ、明るい背景、身体をたどる光。それらが、年月を越えて続く流れを生み出します。
自分の写真の中から、こうした関係を見つけることが好きです。一枚の写真が、撮影から長い時間を経て仲間を見つけることもあるのです。
祈る手:一枚に応える写真をつくる
男性の写真が先に生まれ、後から女性の写真を制作しました。
最初に撮影したのは男性です。姿勢の均衡と、手のしぐさが好きでした。やがて、その感覚を二枚の写真へ広げる組作品を作りたいと思うようになりました。
数年後、女性に対応する姿勢を取ってもらいました。同じしぐさを異なる身体で表現すると、それぞれに少しずつ違う表情が生まれます。
完成した二枚が好きです。共通する姿勢が落ち着きをつくり、一人ひとりの存在が、作品を人間的で個人的なものにしています。
中央に生まれた星:ロサンゼルスでの一日
撮影当日に初めて出会った、コントーションの演者とヨガ講師。
この写真は、ロサンゼルス中心部で同じ日に撮影しました。二人は初対面でした。一人は身体の柔軟性を生かすコントーションの演者、もう一人はヨガ講師です。その日はメイクも二人が担当しました。事前に会って練習してほしかったのですが、実現できませんでした。
それぞれが、身体と動きについて異なる知識を持っていました。撮影しながら、その両方を生かす構図を見つけていきました。
星のような中央の形が作品の焦点となり、左右の写真が均衡をつくります。私には、出会ったばかりの二人と一緒に作り上げた時間の記憶も重なっています。
庭で撮影した力の研究
筋肉、光、身体の存在感を近くから見つめた作品。
このクローズアップは、自宅の庭で撮影しました。モデルの筋肉と、金色の塗料を通して光がその形を描く様子に集中していました。
力強く、官能的な写真だと感じています。身体に近づくことで、輪郭、緊張、質感に向き合うことができました。生きた人の温かさを残しながら、彫刻のような存在感が生まれています。
三枚を合わせると、強さにリズムが生まれます。空間に迎えたときの、はっきりとした存在感も好きです。
大切なヨギ:均衡の中にある強さ
撮影することが特に好きな人物を、三つの力強い姿勢で表現。
このヨギは、一緒に撮影することが特に好きな人の一人です。姿勢を保つ力と、実践を通して一緒に見つけられる身体の形に惹かれます。
中央の写真では、上げた脚が上向きの流れをつくり、左右の写真がそれを支えています。三つの姿勢の関係に、力強い象徴を感じます。
ポーズの強さと、この人と制作する喜び。その両方があるため、私にとって大切な作品です。
動く二人と、忘れてしまったレンズ
予期しない出来事を経て、レンタルしたツァイスのレンズで撮影。
この写真には、とても現実的な裏話があります。私はレンズを忘れてしまいました。二人は撮影の準備ができていて、私が街へレンズを借りに行く間、待ってもらうことになりました。
高性能なツァイスのレンズを借りましたが、手動でピントを合わせる必要がありました。二人が動く中で、鮮明な一枚を得るため、同じ写真を5回撮ることもありました。
その日は全員に忍耐が必要でした。完成した2枚組を見ると、アクロバットの演者とヨガ講師の優雅さ、そしてつながりが好きだと感じます。同時に、写真を実現するために画面の外で起きたことも思い出します。
顔を見せないヨギ:見る人のための余白
顔を見せないことで、一人ひとりの解釈が入る余地が生まれます。
これらの写真では、ヨギの顔が見えません。それによって生まれる可能性が好きです。誰か一人に限定されず、見る人が自分の意味を重ねることができます。
膝をつく姿勢には、静かな強さがあります。形、均衡、動かない身体が、表情を伝えています。
ヨガ室、瞑想のための部屋、あるいはホテルの落ち着いた休憩スペースに、この3枚組を思い描くことができます。ゆっくり見つめながら、自分なりの関係を見つけてほしい作品です。
蝶と色彩:変化を楽しむ写真
蝶と明るい色彩が、金色の姿に喜びを添えます。
この写真の喜びに満ちた感覚が好きです。蝶と多くの色を組み合わせる作業には時間がかかりましたが、完成した作品には軽やかさと生命感を残したいと思いました。
人物の優雅なシルエットが作品を支え、蝶が動きと可能性を加えています。私には、遊び心があり、官能的で、明るい組み合わせに感じられます。
この寝室の青を背景にすると、色が伸びやかに見えます。空間に喜びを迎えたいとき、思い出す作品です。
不屈の姿:本物の闘う女性を撮る
レスリングと剣による格闘の経験が、彼女の存在感を支えています。
彼女は実際に闘う人です。レスリングと剣による格闘を行い、自分の剣を持ってスタジオに来ました。そのことに、すぐ興味を持ちました。
金色に塗る前に、美容室でドレッドヘアを整えたばかりでした。髪、剣、身体の構え。そのすべてが、写真に映る存在感につながっています。
自身の経験から身体への自信を持つ人と、制作できることがうれしかったです。この写真の強さは彼女自身のものです。私はそれに光と形を与え、自分の写真の世界へ迎えました。
存在と不在:同じ姿勢が生む二つの読み方
同じ姿勢でも、頭部の見え方によって印象が変わります。
この最後の組作品の簡潔さが、とても好きです。同じ姿勢が、頭部の見える写真と見えない写真になり、もう一度見たくなる違いをつくります。
黒い背景では、金色の形がはっきりと現れます。要素が少ないからこそ、小さな変化が作品全体の感じ方を変えるのです。
私には、現代的で、心に問いを残す作品に感じられます。見せ方は簡潔ですが、解釈には広がりがあります。
現代美術のさまざまな表現に触れたい方には、大阪の国立国際美術館のコレクションとリサーチも参考になります。異なる作品を見ることは、自分がどのような形や問いに惹かれるのかを知る機会になります。
日本の住まい・ホテル・スパに合う組写真の選び方
私なら、まずその場所に迎えたい雰囲気を考えます。入った瞬間、椅子に座ったとき、静かに過ごすとき。人にどのような感覚を持ってほしいかによって、作品の選び方は変わります。
東京・大阪・名古屋:ロビーや仕事の空間に
東京のホテルロビー、大阪のオフィス、名古屋の応接室などで、力強い存在感を求めるなら、筋肉のクローズアップや剣を持つ女性の作品を考えます。彫刻的な形が、壁に明確な焦点をつくります。
横に広い3枚組は、大きな壁に動きを与えることができます。写真だけの寸法ではなく、三枚を並べた全幅と、写真の間隔を含めて検討してください。見る距離や家具、人の動線も大切です。
京都・金沢:歴史ある建物と写真を向き合わせる
京都の町家や金沢の歴史ある建物を生かした宿では、木の柱、塗り壁、建具などとの関係を見ながら選びたいと思います。座る二人の作品や、庭の反射を捉えた作品は、落ち着いた客室に親密な雰囲気を添える候補になります。
建物と写真の関係を考える入口として、京都国際写真祭にも目を向けてみてください。写真を単独で見るだけでなく、展示される場所とともに体験することは、自分の空間に作品を迎える際の想像を広げてくれます。
箱根・軽井沢・沖縄:自然を感じる客室やリゾートに
箱根や軽井沢の宿、沖縄のリゾートでは、窓の外の景色と作品がどのように共存するかを考えます。花の写真は柔らかさを、庭の作品はロマンティックな気配を、砂漠のダンサーは動きと開かれた風景の記憶をもたらします。
これらは展示場所の提案です。実際の景色、光、壁の素材を確かめながら、その場所に合う作品を選んでください。写真を窓の向かいに置く場合は、ガラス面の反射にも注意して配置を検討するとよいでしょう。
スパ・ヨガ室・休憩スペース:静かに見るための余白
ヨギや祈る手の作品は、落ち着いて過ごす場所の候補になります。周囲に十分な余白を設け、身体のしぐさと写真同士の関係を見られる配置にしたいと思います。
金色の唇と花は、自然と身体の親密な関係を表す別の選択肢です。デイヴィッド・ロイドのスパに選ばれた実例も、この作品をウェルネス空間で考える手がかりになります。
建築・素材・照明との関係を確かめる
作品を決める前に、入口や座る場所から壁を見てみてください。壁の比率、家具の高さ、写真の間隔を確認し、複数の写真が一つの作品として読めるように配置します。
建築、展示、庭が一つの体験になる例として、東京都庭園美術館のアール・デコ建築と庭園があります。自分の空間でも、写真を周囲の素材や光とともに見ることをお勧めします。
額装した写真には、窓や照明が映り込むことがあります。明るい場所では、設置位置やガラスの選択を額装の専門家と相談してください。無理に大きな作品を選ぶより、全体を見渡せる距離を確保することも大切です。
組作品の配置については、私の2枚組・3枚組の写真アートに関する記事でも紹介しています。
日本の文化記事を通して、自分の好みを見つける
作品を選ぶ感覚は、写真を見る時間や読む時間を通して育っていきます。日本の新聞社による発信では、朝日新聞の「美術」に関する記事や、日本経済新聞社の文化事業サイトも、アートを知る入口になります。異なる視点に触れながら、自分が何に惹かれるのかを確かめてみてください。
最後は、心に残るつながりを選ぶ
寸法や色だけでなく、その空間にどのような存在を迎えたいのかを考えてみてください。私は、一枚の写真のエネルギーを深める相手を撮るまで、何年も待つことがあります。皆さんにも、写真を一緒に見たときに何を感じるかを大切にして選んでいただきたいと思います。
この2枚組、3枚組には、私の人生の一部が込められています。撮影することが好きだった人々、視線を育てた場所、予期しない出来事、そして発見。物語をお伝えすることは、作品にもう一歩近づいていただくための方法です。
日本の住まいやホテル、スパのために写真アートを選ぶなら、まず心に残る作品を見つけてください。その後で、作品の存在が、その場所で過ごす時間にどう寄り添うかを想像してみてください。
黄金の2枚組・3枚組写真コレクションから、身近に置きたい作品を見つけていただければうれしく思います。
